00.お茶の生産量を都道府県別に見る

お茶の生産量が今、デッドヒートの争いを繰り広げています。
日本のお茶業界の王者として君臨してきた静岡に、新興勢力の鹿児島が今年こそ追いつくかと、毎年注目を集めています。
そんな中、2020年12月に農水省から発表された「お茶をめぐる情勢」から、最新のデータを参照し、ランキングにまとめてみました。
※リンク先は農水省のページになっており、最新の「お茶をめぐる情勢」が見れます
また、静岡・鹿児島両県のお茶関連団体が発表している2020年最新の新茶の生産量の結果が出ていますので、その結果をまとめ最新動向を比較して今後を考えます。
✔最新データでは生産量トップ5のランキングはどうなっているのか?
✔静岡と鹿児島の2020年の新茶生産量がどうなったのか
✔お茶生産量と耕作面積・農家数の推移から見える本質的課題とは
今回の記事を読めば、2020年12月現在、最新のお茶生産状況が分かり、またそれだけではなくお茶の生産現場で起きている問題について理解ができます。
ぜひ最後まで読んでみて下さい。
01.最新ランキング!お茶の生産量トップ5

では、早速ランキングをまとめましたので見てみましょう!
2020年12月に農水省から発表された『お茶をめぐる情勢』から、最新集計データを抜粋してまとめています。
※2020年『お茶をめぐる情勢』より、令和元年の年間生産量で掲載
順位 | 都道府県 | 生産量(t) |
1位 | 静岡 | 29,500 |
2位 | 鹿児島 | 28,000 |
3位 | 三重 | 5,910 |
4位 | 宮崎 | 3,510 |
5位 | 京都 | 2,900 |
1位静岡と2位鹿児島の差がほとんどないのに対し、3位以下は大きく生産量の差がつけられてしまっています。
さらに、過去の生産量をまとめましたので、比較してみましょう。
※2019年『お茶をめぐる情勢』より、平成30年年間生産量で掲載
順位 | 都道府県 | 生産量(t) |
1位 | 静岡 | 33,400 |
2位 | 鹿児島 | 28,100 |
3位 | 三重 | 6,240 |
4位 | 宮崎 | 3,800 |
5位 | 京都 | 3,070 |
静岡で比較すると、33400トンから29500トンと大きな減少となっています。
一方、鹿児島で比較すると28100トンから28000トンとほぼ横ばいです。
ここから見ても、両者の生産体制の勢いの違いが感じられます。
また、全体の生産量に目を向けると、全体的に1年でも下がっていることが分かります。
2018年が74610トンに対し、2019年は69820トン。
この短い期間で、5千トン近く減少しているのが分かります。
02.静岡と鹿児島の2020年の新茶生産量がどうなったのか

では、今年2020年の生産状況はどうなのでしょうか。
2020年といえば、コロナの影響が切っても切り離せません。
その影響をそれぞれの県がどのように受けているのでしょうか。
実際の年間生産量は年が明けてみてから分かるかと思いますが、新茶の生産量であれば現時点で分かっています。
02-2.2020年静岡の一番茶生産量
まず、静岡から見てみましょう。
静岡新聞によると、JA静岡経済連の集計で、2020年は前年比14.5%減の9400トンとなった事が報じられています。
1万トンを割ったのは初めてとのことで、苦しい流れにこのコロナで拍車がさらにかかった形となっていて、数字以上のダメージが現場に走っているのが想像できます。
02-2.2020年鹿児島の一番茶生産量
一方、鹿児島を見てみましょう。
中日新聞によると、鹿児島県茶市場(鹿児島市)の一番茶取り扱い実績(5月31日現時点)で、前年比5%減少となったと報じています。
実際の数量ベースで見ると、2019年の3504トンから、3333トンと170トンほどの減少となっています。
これらの状況から鑑みると、静岡で14.5%の減少に対し、鹿児島は5%の減少。
それぞれの県でお茶全体に占める、新茶生産量の差はあれど、単純に見れば新茶の割合が高い静岡で、しかも減少幅も大きいという状況になっています。
鹿児島は踏ん張り、静岡は大ダメージを受けている、というのが率直な感想です。
03.お茶生産量と耕作面積・農家数の推移から見る問題とは

さらに、お茶の生産現場の厳しい変化内容を理解しておくことで、この生産量の変化の背景まで理解できます。
まず、農家数の変化を最新の『お茶をめぐる情勢』から見てみます。
わずか15年で、恐ろしい数の農家数が減っている事が分かります。
静岡で15000戸が減少、実に62%以上の農家さんが消えてしまったと言えます。
一方、鹿児島も流れは同じです。
2500戸以上が減少、割合にして約59%の減少となっています。
つまり、両社とも著しく減少しているものの、農家数の減少幅としては、ほぼ同じ減少幅なのです。
ここで、お茶面積のデータも見てみましょう。
静岡県の統計『静岡県茶業の現状』からデータを抜粋しています。
静岡は、ピークの平成2年から面積も右肩下がりです。
一方、鹿児島はピークの平成22年から、ほぼ横ばいを維持しています。
これらから、鹿児島のお茶農業が減少した農家さんの農園を吸収するような形を取って、かなり効率化経営に成功しているのが分かります。
実際、農水省のデータでも、1戸当たり面積で静岡よりも、鹿児島の伸びが顕著であることが分かります。
こうしたことから、静岡のお茶は、生産量の減少・農家数の減少・生産効率化の不十分という、非常に苦しい状況にあるのが分かり、今後の新しい動きが急務であると思われます。
04.お茶生産量とランキングから見える課題まとめ
以上をまとめます。
・2020年新茶の生産量のコロナによるダメージでは、静岡の方が大きい
・農家数の減少や面積の推移から、静岡の現状が非常に苦しい事が分かる
当サイトでも今後、両県の新たな取り組みや、最新情報が出次第、記事にしていき、少しでも多くの皆さんに日本のお茶の現状を知って頂き、消費喚起につながればと考えています。
では、また。