00.急須屋さんが教える正しい急須の洗い方
急須を使っていくと、どうしても汚れていきますよね。
皆さんも、こんなお悩みをお持ちでこのサイトに訪れたのではないでしょうか?
✔そもそも、急須ってどう洗うのが正しいんだろう?
✔急須は食器洗い機を使って洗ってよいの?
✔急須の注ぎ口などのしつこい汚れはどう洗うの?
急須を実際に販売する中でも、よく頂く質問です。
結論からお伝えすれば、原則として洗剤等は使わず、水と手洗いで都度洗う、が正しい急須の洗い方です。
日本茶スペシャリストの資格を持ち、茶器ブランド「きつさこ」の代表である私は、基本的には上記のように習い、実践してきました。
逆に言えば、そこまで気にしすぎなくても良いけれど、目に見えて気になる汚れが出ないように管理する、というレベルの意識で大丈夫です。
この記事では、上記の疑問の「なぜ?」に答えながら、詳しく洗浄する上での注意点をご説明していきます。
01.急須に、洗剤や漂白剤を使って良いの?
01-1.洗剤も漂白剤も考え方は同じです
まず多くの方が知りたいのが、この洗剤問題かと思いますが、結論からすると、使ってはいけないと覚えておきましょう。
なぜなら、急須には実は、見えない小さな穴が空いていて、そこに水分とともに洗剤等も吸着されてしまうからです。
お茶を淹れる際に、急須で淹れるとお茶がまろやかになるのは、実はこの急須の素材によってお茶の渋み成分(タンニン)を吸着しているからなのです。
洗い方を紹介している中には、「漂白剤であれば問題ない」と書かれているものもありますが、そういった記述には個人的にはかなり疑問です。
理由は3つあります。
理由①
多くの記述には漂白剤を入れる量に関する具体的な目安が書かれておらず、多くの人が、必要以上の濃度にしてしまうため、漂白剤が素材に吸着されてしまう確率が高いから
理由②
急須には汚れだけではなく、すでに堆積した茶渋成分が吸着されているため、その上から漂白剤が新たに覆いかぶさる形になり、堆積成分に匂いが付いてしまいお茶が不味くなるから
理由③
漂白剤頼りになると、より日頃の洗浄が雑になり、漂白剤を使う頻度が増える傾向が発生するため
洗剤が使ってはいけない理由と漂白剤も同じように考えるべきなのに、なぜ洗剤はダメで漂白剤は使っても良いとうたわれるのかが疑問なのです。
また、日ごろからある程度しっかり水洗い・手洗いをしていれば、茶渋汚れが気になることも実際それほど多くないのではないかと感じます。
01-2.こびりついた汚れには重曹を使おう
日頃の急須の洗い方としては、水洗い・手洗いが原則となります。
茶葉を洗い流した後、そのまま中に水ザーッと流しながら、よく回し、かつ気になる箇所は手でこすり洗いをします。
どうしても手洗いでは落ちないような、強めな汚れがある場合には、重曹を使いましょう。
重曹は、食塩水が原料です。
そこに二酸化炭素を加える事でできるものなので、安全性の高い洗剤と言われています。
そんな重曹のメリットは3つあります。
①弱アルカリ性
…酸性の汚れを落としてくれます。生ごみ臭などの匂いも中和できます。
②粒子が水に溶けにくい
…陶器に吸収もされにくいです。お皿などのこすり洗いではクレンザー的な役割も。
③発泡性
…温めることで、二酸化炭素が発生。これによって、汚れや焦げを浮かせて剥がし取れます。
具体的な洗い方は下記の通りです。
①急須がすっぽり入る大きな鍋に入れて、お湯を沸騰させます。
②その中に大さじ2杯ほどの重曹を入れて、急須も入れます。
③弱火で10~20分煮沸します。
以上でOKです!
今回の急須の素材は、前提として「炻器」(せっき)と呼ばれる素材でできたものの話をしています。産地でいえば、常滑焼や萬古焼は炻器です。逆に、美濃焼や九谷焼、有田焼・波佐見焼はそのほとんどが磁器(じき)の急須です。磁器とは、石からできる素材で触ってみるとツルツルとした触り心地です。この磁器の場合は、成分を吸着しないため、洗剤を気にせず使っても問題ないでしょう。
02.急須は、食器洗い機で洗って良いの?

この質問は、本当によく頂く質問です。
結論から言うと、洗っても良いがおすすめはしない、ということになります。
急須の素材は、基本的には磁器か炻器(せっき)とよばれるものが多いのですが、そのどちらも食器洗いにかけても、素材が変化するなどはございません。
しかし、下記の点が懸念されます。
・洗剤が吸着されてしまう
・食器が中で動き、急須の蓋や注ぎ口が破損してしまう
吸着の点は、もう説明は不要かなと思います。
お茶の味に影響する可能性があるという事です。
そして、意外と多いのが、急須の破損です。
食洗器の中は、かなりの勢いで熱湯が出たりしますから、その勢いでカトラリーや小さなお皿が動いたります。
その結果、急須にぶつかってヒビが入ったり、破損してしまうことが起こりがちです。
できるだけ食洗器は使わず、水洗いでザーッと洗うようにしましょう。
03.急須の注ぎ口の洗い方は?
続いて、余り質問は頂かないのですが、とても重要なので触れておきたい「注ぎ口」のケアです。
実は、多くの人があまり気づいていませんが、急須の注ぎ口とその本体との付け根部分は、茶渋成分が溜まりやすいのです。
理由は分かりやすく、「見えない上に、手が入らない」からです。
そのため、多くの人が気にせずそのまま数年使ううちに、突然「黒い汚れが出るようになった・・・」と言い始めたりしています。
それは、急須の寿命なのではなく、注ぎ口の付け根部分に汚れが溜まりすぎてしまったのが原因なのです。
そのため、注ぎ口も定期的に洗うようにしましょう。
使うのは、下記のような注ぎ口用の細いブラシがベストです。
もしなければ、小さい子ども用の歯ブラシなどでも洗うことが出来ます。
週に1回、少なくても月に1回程度洗えていれば、大きな支障はないでしょう。
急須を洗った後、実は乾燥をしっかりさせることがとても大切です。なぜなら、急須には水分が残りやすく、また素材がボコぼことしているため、残った水分のところに雑菌の繁殖もしやすいからです。洗った後はすぐに蓋はせず、乾かしてからまた蓋をして戻しましょう。
04.急須の洗い方のまとめ
ということで、急須の洗い方をまとめます。
②洗剤・漂白剤・食洗器の使用は控える
③注ぎ口の洗浄を忘れずに行う
ぜひ、あまり考えすぎず、使ったら毎日サッと洗って乾かす、くらいの気持ちで気軽にクリーンな急須のある生活を楽しんでもらえればと思います。
では、また。