【整理】お茶の産地による特徴を知ろう【味の違いも】

  • 2020年10月31日
  • 2021年1月28日
  • お茶
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00.お茶の産地による特徴を知ろう

お茶 産地

国内にあるお茶の産地って、結構あるけど、何か違うの?
そう思って色々と検索されているかもしれません。

けれど、ありきたりなことや肝心な味の違いがイマイチ体系的に分からない記事が多かったりします。

そこでこの記事では、日本茶スペシャリストで茶器ブランド「きつさこ」代表を務める私が、下記のポイントを抑えた記事をまとめました。

👉お茶産地としてメジャーな6大産地の違いをしっかりまとめています
👉製法の特徴、地域的なこだわり、味の違いを中心に整理してまとめています
👉お茶の風味を決める主な要素を2つ取り上げ、産地を理解しやすくまとめています

この記事を読むことで、お茶の産地別の特徴や違いが分かり、それがどんな味わいになるのか理解できます。

ぜひ最後までご覧下さい。

01.お茶の6大産地をしっかり抑える

お茶 産地

この記事では、全国的な流通量やメジャーさから、狭山茶・静岡茶・伊勢茶・宇治茶・八女茶・鹿児島茶6つの産地をとりわけ取り上げます。

01-1.狭山茶

エリア

埼玉県入間市が6割を生産し、川越市・狭山市等も生産しています。
一部、東京都の青梅市等でも栽培さていますが、その場合「東京狭山茶」と呼ばれて区別されています。

年間生産量

881t(令和元年)
全国9位
※令和2年7月農水省資料『お茶をめぐる情勢』より
※リンク先は農水省のお茶情報をまとめたページになっており、そこに最新の「お茶をめぐる情勢」が掲載されています

栽培・製法の特徴

「色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす」
そんな古い詩が残ってるほど、歴史と伝統がある産地で、詩からは狭山地域で生産していた方々のお茶へのこだわりと自信が伺えます。
肉厚な茶葉を使って、かつ江戸時代から続く「狭山火入れ」という焙煎製法を独自に取っています。

味の特徴

渋み・味の濃さともにしっかり濃いめで、コクを感じやすいのが特徴です。
また、香りも独自製法による重厚さを持っており、ガツンとしたお茶という印象です。

01-2.静岡茶

エリア

静岡県内に広く広がるお茶産地の総称で、日本を代表するお茶の産地です。
静岡市葵区・清水区、 島田市、川根本町、掛川市、牧之原市、菊川市、浜松市天竜区など。

年間生産量

29500t(令和元年)
全国1位
※令和2年7月農水省資料『お茶をめぐる情勢』より

栽培・製法の特徴

1950年以降、急速にひろまった「やぶきた」発祥の地として有名です。
やぶきたは、寒さに強く、また収穫量も多いなど他の品種にはない優等生だったため、日本中に広がりました。

また、今やほとんど一般に普及した「深蒸し茶」も、牧之原エリアから考案され全国に普及していきました。

まさに今につながる「お茶文化」の中心地として活躍しています。

味の特徴

エリアによって大きく異なりますが、最も有名な産地の牧之原・掛川のお茶は、コクがあり濃厚な味わいが特徴です。
水色もしっかり緑々しく、一方で香りは比較的弱い傾向があります。
その他、上品な味わいと旨みが特徴的な川根茶、香りの高さとさっぱりとした味わいが特徴の天竜茶などが知られています。

01-3.伊勢茶

お茶 産地

エリア

三重県のお茶で、大きく北部南部に分かれています。
北部が四日市市水沢地区、鈴鹿市、亀山市、菰野町、南部は松阪市、度会町、大台町及び多気町が該当します。

年間生産量

5910t(令和元年)
全国3位
※令和2年7月農水省資料『お茶をめぐる情勢』より

栽培・製法の特徴

伊勢茶の歴史は古く、室町時代にはすでに全国的な知名度を持つブランドになっていたようです。

伊勢茶の特徴は、「かぶせ茶」と呼ばれる製法で、旨み成分「アミノ酸」を通常のお茶よりも多く含ませる栽培方法。
お茶の木から日光を遮るような覆いをする方法です。

しかし、残念な点は、その歴史と栽培量のわりに、今では知名度が高くない点が課題となっています。もったいないですね。

味の特徴

とりわけ旨みが強いお茶の傾向が強いです。
そのため、比較的低温で淹れる浅蒸し茶が多い印象。
香りは比較的薄めです。

01-4.宇治茶

エリア

京都府内の業者が京都府内で、宇治地域に由来する製法により仕上の加工を施したものを呼びます。
生産地としては、京都府・奈良県・滋賀県・三重県4県にまたがっています。
京都府内のエリアだと、宇治・宇治田原・和束 (わづか)・山城が該当します。

年間生産量

2900t(令和元年)
全国5位
※令和2年7月農水省資料『お茶をめぐる情勢』より

栽培・製法の特徴

その歴史品質の高さから、高級茶の代名詞としてハイブランドな地位を築いています。
また、今につながる蒸し製法の発祥の地ともされています。
今では、玉露や抹茶などを中心に生産しています。
そのブランドゆえに、大手企業のマーケティングに使われやすく、またギフトとしても喜ばれやすいお茶になっています。

味の特徴

旨みの強いお茶を製造する個性をもったエリアです。
水色は薄めでありつつも、だしのような旨みを感じられるお茶です。

01-5.八女茶

エリア

福岡県のお茶で、具体的には八女市・筑後市および八女郡広川町で栽培されたお茶を指します。

年間生産量

1780t(令和元年)
全国6位
※令和2年7月農水省資料『お茶をめぐる情勢』より

栽培・製法の特徴

「天然の玉露」と呼ばわるほどの、玉露の一大産地
玉露と言えば宇治のイメージが強かったが、昨今八女茶のブランド価値が高まっています。
特に、星野村で生産される八女茶は「星野村の八女茶」として、他と一線を画す存在になりつつあります。
また、玉露単体の生産量としても、宇治を抜いて日本一となっています。

味の特徴

ひと言で言えば、「甘い」
そう評されることが多いお茶です。
旨みが濃縮されているが、マイルドな味わいから、他産地の旨みと違う印象をうけるため、それが「甘い」と評されるゆえんでしょう。

また、抹茶も有名で、宇治の抹茶とは異なり柔らかい旨みを感じやすく、また口当たりが優しい印象を受けます。

01-6.鹿児島茶

お茶 生産量 ランキング

エリア

鹿児島県のお茶ブランドで、「かごしま茶」と表記されることが多いです。
エリアとしては、主要エリアは、南九州市から枕崎市にかけて広がる南薩台地付近で、特に知覧のお茶は「知覧茶」として独自ブランドを形成しています。
他にも、有明や種子島でもお茶が栽培されています。

年間生産量

28000t(令和元年)
全国2位
※令和2年7月農水省資料『お茶をめぐる情勢』より

生産量は今にも、静岡に追いつく勢いで伸びています。

栽培・製法の特徴

国内で最も「脱やぶきた」が進んでいる産地の一つです。
香り豊かな「ゆたかみどり」や水色の良い「あさつゆ」など、個性的な品種を開発し広めています。
また、平地が多いため、大量生産にも向き、企業が進出する先としても拡大しています。
加えて、日本で最も早い新茶の地域で、種子島では3月後半から新茶が取れるため、「大走り新茶」とも呼ばれています。

味の特徴

比較的、すっきり飲みやすいお茶が多い産地です。
特に知覧茶ほんのりした甘みが、飲み口良く飲めます。
水色も鮮やかな緑で、香りもしっかり感じるものが多いです。

02.地理的な特徴による違いとは?

お茶 産地

個別の地域の特徴を覚えようと思っても、なかなか覚えられないものですよね。
上記にまとめた6つの産地だけでも大変です。

もう少しざっくりと、共通して生まれる気候や地理的な要因がありますので、そちらを解説することで、おおまかにお茶の産地特性を理解できるようにしておきましょう。

ここでは、2つの要因をまとめておきます。

1)暑さと寒さ
2)平地か山間地か

それぞれ見ていきましょう!

02-1.暑さと寒さ

お茶は、温暖な地域の場合、葉が薄めな状態を保ちます。
一方、寒冷な地域では肉厚でしっかりした葉になる傾向があります。

そのため、温暖な地域のお茶はスッキリした飲み口のお茶が多く、
寒冷な地域のお茶は渋みをしっかり感じるお茶が多い傾向
があります。

そのため、西のエリアはスッキリ系、東のエリアは渋み系などとざっくり考えられます。
もちろん、細かな地域を見ていけば、その地域独自の違いが出て来ます。
しかし、大まかに見るとこうした傾向がみられます。

02-2.平地か山間地か

次に、その地理的な構造で、平地か山間地かによっても違いが出て来ます。

ざっくりいえば、平地ほど安定・量産型のお茶が作られ、山間地ほど個性・高級型のお茶が作られています。

平地は一度に作業ができるので量産向きなのは分かりやすいかと思います。
一方、山間地については、特に霧の具合いが地域によって異なり、それが味の個性を与えていると言われています。

なので、例えば同じ静岡茶でも、牧之原などの広いエリアでは比較的安価なお茶が安定的に作られていますが、川根などのお茶は独特の風味をもち、かつ少量なので、高級化しています。

このように、暑さと寒さ、平地と山間地というフィルターをクロスして理解することで、地域的な特徴を理解しやすくなります。

03.お茶の産地まとめ

では、今回の内容をまとめます。

・お茶の6大産地は北から狭山・静岡・伊勢・宇治・八女・鹿児島
・地域の特性は「寒さと暑さ」「平地と山間地」をクロスして考えると理解しやすい

ぜひ産地の個性を理解したら、実際にそのお茶を飲んで体感してみてくださいね!

では、また。

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